約束したよね。
したじゃない。

でも、あなたは返事をしなかった。


させたのは私。
やったのはあなた。

どちらも同じこと。





Lacrimosa.17





。起きられるか」
「ん・・・」

どうにか食事をさせたりしているものの、の健康状態は悪かった。
貧血と、元々の低血圧。それに加わった低体温。栄養状態は悪く、休息は不十分。
良いはずがない。

いつもうとうとしていて、起き上がることさえ億劫で、何も出来ない。そんな状態。

「気分悪い・・・」
「わかるけど頑張れ。今日は部屋移動最終日だ。大体、も帰ってくる」
「え!」

勢い良くは起き上がって、またベッドに倒れこんだ。
急に起き上がったせいで、脳貧血状態になったのだろう。

「大丈夫か?」
「うん・・・」

今度はゆっくりと頭を持ち上げて、もう一度起き上がる。
上半身だけ起こし、壁にもたれたところでようやく落ち着いた。

「本当? 本当に今日が帰ってくるの?」
「ああ、本当だ。だから起きてないと。が心配する。食事も取るんだぞ」
「うん、かっちゃんありがとう」

笑顔になって、ベッドから這い出る。
多少おぼつかない足元で。



新しい部屋に荷物を入れ、昼も過ぎた頃。

、お帰りーっ」
「ただいま、。・・・・と、渋沢」

学校前のバス停で、下りてきたを迎える。
と、渋沢と、三上と。

「ちょっと待て、俺は無視かよ」
「ん? あ、三上いたの?」
、そんな言い方したら可哀想だよー?」

の三上に対する扱いはそんなもので、それをが軽く諫める。
もっとも、彼女達が本当に気にしているかは疑わしい。

「さて、私はにあれほど言ったのに、この子はまた」
「うぅ・・・ごめんなさい!」
「それにまた痩せたね・・・・まったく・・・渋沢、ありがとう」

目ざとくの変化を見つけて、は渋沢に礼を言う。
が少ししょげたような表情をしていた。
が三上を睨んで、指を差す。

「で、その原因の一部はこの人とかじゃあないでしょうね?」
「はあ?」
「違う違う、三上君は関係ない」
「あ、そう」

特に興味なさげな返事。
が必死に三上の弁明をしている。
それを一通り聞いてから、は横目で三上の方をちらりと見た。

「絶対あんたが原因だと思ったんだけどなあ・・・」
「何だよ」
「信用ないってこと」

そして、くすりと含み笑いをする。
の顔が訝しげなものとなる。

「ちょっと、何考えてんの? 気持ち悪い」
「んー? 何でもない何でもない。そっかー」

何度もつぶやいて、一人で頷いている。
結局自分の中で納得したようだ。
三上の肩をぽんぽんと二回叩いて、今度は楽しそうに笑った。

「大変だねぇ、三上。ご苦労さま」
「何がだよ」
「だって、は君にもお世話になったみたいだし?」

尚もは笑う。
最初と態度が違いすぎて、不気味なくらいだ。

「でも、はまだあげられないなぁ」
「何言ってんの、
「だってー、は三上にはもったいない!」

言い放ってを抱き締めると、も嬉しそうに笑った。
三上は呆気に取られ、渋沢は苦笑している。

「さあて、じゃあそろそろ部屋に行きますかー」
「あー、私も。じゃあね」

が歩きだして、がその後を慌ててついていく。

帰って早々うるさいと、思いの外元気な
これが全てのおかげかと思うと、少し癪な気がした。



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++あとがき++
女の子のノリって凄いと思う。
平気で好きだとか愛してるだとか言ってる。
別に百合とは違うから!(こんな所で出す気はない)

2006/07/24