暁の方


  帰ってくれると信じていた。
  もう一度逢いたかった。

  今日も会えずに夜が明ける。



  名前変換

「人は自然現象に打ち勝つ事などできない」
「How much are you?」
「どうして異国の人は、他人と近づきたがるのだろう」
「It's a good name」
「二度とそいつの名前を口にするな」
「I'm sorry having let you cry」
「早く帰ろう」
「気になるのは、彼の後ろに居る、彼」
「異人さんってみんなああなのかな」
「ああ、英語が話せたら」
「日本語覚えられないって言うから」
拾壱 「何も出来なくなってしまったのに」
拾弐 「素敵でしょう。絶対似合うと思ったのよ」
拾参 「気付くのおせーよ」
拾肆 「・・・離しなさい」
拾伍 「返事を聞いていない」
拾陸 「このような時に言うのもどうかと思いますが」
拾漆 「・・・わかった。受け取っておこう」
拾捌 「そんなの、答えとして許されるわけがない」
拾玖 「あちらも家を潰したくないだろうからな」
弐拾 「でも東京と横浜、そんな遠くないし」
弐拾壱 「お嬢さん自ら迎えてくださるとは光栄ですね」
弐拾弐 「誰もそんなの教えてくれなかったから」
弐拾参 「彼女の着物の裾と袖が、また一段と大きく翻った」
弐拾肆 「彼は笑みを浮かべたままだった」
弐拾伍 「薬湯。一応飲んでおいた方が良いだろうから」
弐拾陸 「頼むからもっと笑えよ」
弐拾漆 「一層そう見えるのは気のせいではないと思う」
弐拾捌 「いえ、言われてるようなことは・・・」
弐拾玖 「まだ貴方みたいな人は珍しいのです」
参拾 「奥さん、随分遅いお帰りで」
参拾壱 「・・・何処だっていいでしょう」
参拾弐 「すみません、こんな遅くに」
参拾参 「呼び鈴押そうと思ったら聞こえたんです」
参拾肆 「ここは、彼の場所のはずなのに」
参拾伍 「まあ、そこそこ近くに行けば」
参拾陸 「聞こえるのは振り子の音だけ」
参拾漆 「・・・事情は存じております」
参拾捌 「随分直接的だったな」
参拾玖 「こんなとこで嘘なんかつくんじゃねーぞ」
肆拾 「次の曲は私がお相手してもらってもよろしいかね」
肆拾壱 「何だ、あそこにいたかったのか」
肆拾弐 「そうよ、見てわかるでしょう?」
肆拾参 「そういえば、最近妙に平和ですね」
肆拾肆 「随分なご挨拶ね」
肆拾伍 「ご用件は何かしら」
肆拾陸 「別に遊びに行くわけじゃないし・・・」
肆拾漆 「ならいーんだけど。あそこ。ちょっと開いてる」
肆拾捌 「待てるわけ・・・っ」
肆拾玖 「あー、ちゃんと生きてるから」
伍拾 「長い沈黙はどうしても何かを思い起こさせる」
伍拾壱 「わかると思うけど」
伍拾弐 「けれども、今度は何故?」

閑話 「斜陽の影など欠片も見せない」(正月用)